シネマの衣装

シャネルスーツ

本日の最高気温は16度。まずますの行楽日和です。今夜は私も高校時代の懐かしい顔と夕食会です。暖かくて良かった。先週の日曜は屋外で撮影があったのに雪の降りそうな寒さでした。告知していたカミングホームの撮影は無事終了です。もし、ブログを見て寒い中参加されたエキストラさんがいらしたら、ご苦労様でした。ありがとうございます。

さて、今回はシャネルさんのお話です。今日ではお嬢様御用達のブランド、お上流の奥様好みのシャネルスーツですが、発表当時のシャネルスーツは当時としてはとてもアバンギャルドなものでした。1900年代初頭、女性のファッションは、少しずつ解放の兆しを見せていました。まずは、機能的にも健康面でも女性を締め付けてきたコルセットにかわってガードルやブラジャーが主流となります。体型の矯正が緩やかになると、服のシルエットにも変化が現れます。活動しやすい下着は、床まで届いたスカート丈も徐々に短くし、無駄な装飾を省いていきました。女性達の意識の変化とともに、より自由なファッションが考えられていきます。

こんな時代にシャネルさんは登場しました。紳士服にヒントを得たスーツスタイルや、パンタロン、ひいてはショートカットヘアまで。時はローリングトゥウェンティ、今で言ういけいけの時代でした。とはいえ、前世紀の習慣の色濃く残るヨーロッパで、彼女のデザインは大変センセーショナルな物議を醸しました。しかし、施設育ちで、貧しいお針子から身を立てた彼女の反骨精神は独自のスタイルを確実に作り上げていきました。一方で非常に魅力的な女性だった彼女は、その美点もフル活用、商業的な成功も手にしました。時代の荒波の中で、大きな浮き沈みを見せる、彼女の波瀾万丈の人生はとても興味深いものです。沢山の書物や映画になっています。興味のある方はさがしてみては?私の蘊蓄はこの辺にしておきます。ともかく、色々あって、すったもんだの末、1955年ようやくカムバックした彼女が発表したのが世に言うシャネルスーツです。ノーカラーにブレードを配したシンプルなツィードのスーツです。この時御歳71、すんごいおばあちゃんです。失礼。

210_2 シャネルスーツを真似て、マダムなジャケットを作りました。またしてもお買い得で手に入れた生地が足りなくて、ジャケットだけです。トホホ素材はファンシーツィード。モール糸とリボンヤーンが織り込まれた、華やかな生地です。 ラメの入ったモールのブレードをあわせます。 212_2 

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袖山を丸くして、ソフトな感じのシルエットにしました。213 

 

211_2 いかがですか?PTAにもクラス会にもOK。ちょっとお上品なよそ行きジャケットの完成です。         

あら、ちょっと写真が曲がってました。ホントはちゃんと裾のラインはあってます。念のため。  

フリルのブラウスやビーズ刺繍のニット。ベロアのパンタロンやジョーゼットのスカート。着回しは無限大のお役立ちアイテムでーす。  

さて次回は…たぶんパーティードレスです。時間があったら。 

       Coming soon

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シェルブールの雨傘

2週間ぶりの更新です。このところ、コスチューム三番地は過密スケジュール。バタバタと仕事に追われるうちに、7月になってしまいました。でも、梅雨前線はまだ少し居残りそう。しからば、滑り込みセーフ、今回はレインコートのお話です。

レインコートと言えば、一番に浮かぶのがトレンチコートでしょうか?しっかりしたツィル仕立ての男物は、ハードボイルドの必須アイテム。夜の大都会、コートの襟を立ててじっと煙草をくゆらす。ちょっと前の男前のイメージです。(今ではカラオケの画像ぐらいでしか見かけないけれど。)さてこのトレンチという言葉、実は塹壕という意味です。肩にあしらわれたエポーレットは一説によると、負傷した兵士を塹壕から引き上げるためのものとか。戦闘用の防水コートが元になったと言われるこのコート、ディティールのそれぞれに身を守るための様々な工夫があります。

レインコートでもう一つ思い出されるのは、80年代、サラリーマンがよく着ていたバーバリーのステンカラー。ちょっと玉虫のような上質のツィルで比翼仕立て、余分な飾りの何もないデザインは、お洋服にはめっぽう保守的なお父さん世代の眼鏡にかなったものでした。(ちなみに私の父も持っていました。)

婦人物もまた、主流はトレンチのようなメンズ仕立てです。アイテムの性質上やはり実用的なものが目立ちます。けれど、見方を変えれば、雨はなかなかロマンティックな小道具です。かすかな雨音、傘に隠れた秘め事なんて。そのためか、映画には印象的な雨のシーンがたくさんあります。

のヒロイン。私が一番に思い出すのは“シェルブールの雨傘”です。古い映画なので、見たひとは少ないかもしれませんが、ミッシェル・ルグランのあの名曲は一度は耳にしているはず。カトリーヌ・ドヌーヴ演じるジュヌヴィエーヌは傘屋を営む未亡人の母と二人暮らし。娘には自動車修理工の恋人がいて…。筋書きはお定まりのラブストーリーですが、この映画、台詞のすべてが歌です。実際の雨のシーンがどれだけあったか記憶していませんが、全編に流れるセンチメンタルな旋律はあたかも涙雨、湿っぽさ120%の仕上がりです。これは好き嫌いの分かれるところですが、この映画の見所はなんと言ってもドヌーブの美しさ。今でも現役のスターですから、彼女を知る人は多いと思いますが、20代の初々しさは一見の価値ありです。加えてコスチュームのお洒落なこと!母と娘それぞれの世代の、あか抜けた着こなしがとっても素敵です。そして、戦地へ赴く恋人との別れのシーン、娘はトレンチコートに身を包んでいました。

もうひとつ、雨で思い出すのは、ティファニーで朝食を。ラストシーンは土砂降りの雨でした。原作にないこのラストは、ハリウッド映画らしいハッピイエンド。確かこのときのヘップバーンもレインコートを着ていました。余談ですが、トルーマン・カポーティの原作は映画とは大分趣が異なります。原作と比べて鑑賞してもまた楽しめます。

いずれも60年代始めに作られた2作品。雨以外の共通項は、品のいいクチュール仕立ての衣装です。上質の素材と丁寧な仕立ては画面を通して伝わってきます。ドヌーヴの金髪もヘップバーンのプロポーションも、東洋人の対局にある美しさかもしれませんが、お行儀のいいクチュール仕立てはいずこの民にも似合うもの。そこで今回は、ちょっとレトロなクチュール風レインコートの紹介です。

Photo  素材は撥水加工のポリエステル。つや消しで、しっかりした生地です。60年代風の大きな襟とボタン。見頃には切り替えを入れてタイトに仕立てました。

Photo_4   袖は八部ですが、カフスを折り返さないと、もう一つの着方に。袖山にタックを畳んで少しふっくらさせました。

Photo_5 スカート部分はフロント、サイド、バックにボックスプリーツを配してたっぷりとした印象に。

Photo_8                       Photo_9

ボタンはしっかり締めて、共布のベルトを結んで、お行儀良く着こなします。綺麗な色の傘をさしたら、ちょっとハイソなレディに。

さて、いよいよ梅雨明け。次回は夏の定番、アロハシャツのお話です。See you soon

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